棚卸しの基本

棚卸しとは?

社会人になると、おそらく大半の方が「棚卸し」を経験するのではないでしょうか?

今回は、棚卸しとは何なのか?

ということについてお話させていただきます。

ちなみに、私が新入社員の頃に初めて棚卸しをやるとなったとき、「大掃除か何か始めるのかな?」なんて思ったことを記憶しております(笑)棚を整理して拭き掃除して・・・とか。

まあそれくらい知識ゼロ状態からでも、基本的なことを理解できるくらいの解説にしたいと思っております。

 

で、本題ですが、

「棚卸し」とは、

年末、月末などの会計期間の末日に、原料、仕掛品、製品などの在庫の数量を数え、

それぞれの数量にそれぞれの原価をかけて、在庫全ての金額を出すことです。

では、在庫金額がわかるとどうなるのでしょうか?

在庫をせっせと一個一個数えるめんどくさい作業である棚卸しですが、そこまでして在庫金額を出す意味はなんなのか。

棚卸しの目的を見ていきましょう。

 

棚卸しの目的

棚卸しの目的は、「粗利益」をはっきりさせることです。

他にも、在庫整理や不良品のチェックなども目的とされていますが、第一優先の目的は「粗利益」です。

会社やお店が最終的な利益を出すためには、まず最初に「粗利益」を確保しなければいけません。

粗利益から経費や税金が引かれて、最終的な利益になるからです。(利益については、別の記事で紹介しています)

 

では、

「今月の粗利益はいくらだったんだろう?」と考えたとき、どういう計算をしたらいいかというと、

今月の売上 ー 今月の仕入(原価) = 今月の粗利益

と考えてよさそうですが、これは間違いなのです。

 

そもそも「今月の粗利益を出す」とは、

「今月の売上」をつくるのに、どれだけの「在庫」を使ったか?

なのです。

例えば、

8月1日の売上のために販売した在庫は、8月1日に仕入れたものとは限りません。

当然、7月で販売しきれなかった在庫を販売している可能性もあります。賞味期限がある在庫であれば、むしろ7月の残りの在庫から販売していきますよね。

つまり、8月の売上をつくるのは8月の仕入だけでなく、7月の残りの在庫も含まれているのです。

そう考えると、

今月の売上 -(先月末の在庫金額+今月の仕入)= 今月の粗利益

なんですが、もう一つ気にしないといけないことがあります。

 

上記の例で言えば、 9月の売上にも同じことが起こるということです。

9月の売上は、9月の仕入だけでなく、8月の残りの在庫が含まれています。

なので、8月の残りの在庫は、8月の売上をつくることはないのです。

よって最終的に、

 

今月の売上 -(先月末の在庫金額+今月の仕入−今月末の在庫金額)= 今月の粗利益

 

となります。

やっと、「今月の粗利益」の計算式が出来上がりました。

あとは、この計算式に実際の数字を当てはめていくだけです。

「売上」は、売上伝票を確認して、

「仕入」は、仕入伝票を確認して、

「先月末の在庫金額」は・・・?

「今月末の在庫金額」は・・・?

そうです。ここで「棚卸し」の出番というわけです。

棚卸しは、

「会計期間末に、在庫の数量を数え、在庫金額を出す」

ことでしたね。

これで、計算式に数字が当てはまり、実際の粗利益が出てくる、つまり、棚卸しの目的が果たせたというわけです。

 

現状把握と答え合わせ

先程、めんどくさい作業である棚卸しと書きましたが、ここでよく考えてみましょう。

売上伝票と仕入伝票を差し引きしていけば、棚卸しをしなくても残りの在庫数がわかりそうな気がしませんか?

すごく簡潔な例を挙げると、

 

在庫0の状態で、ある期間が始まったとして(普通あり得ませんが)、

ある期間で仕入れた在庫がA、B、C、D、E

ある期間で販売した在庫が、A、B、C

とすると、ある期間の末に残って入る在庫は、D、E

ということになります。

 

で、その次の月は在庫D、Eで始まり、

仕入がF、G、H、I、J

販売がD、E、F、G、H

とすると、末に残っている在庫は、I、J

 

というように、実際に在庫を一個一個数えるというめんどくさい棚卸しをしなくても、在庫数がわかるのです。

これを「帳簿棚卸し」と言います。

それに対して、実際の棚卸しを「実地棚卸し」と言います。

 

では、なぜ実地棚卸しをしないといけないのでしょうか?

それは、帳簿棚卸しにはカウントしてはいけない在庫までカウントされるからです。

例えば、

在庫A、B、C、D、Eが残っているとして、

Eが不良品になってしまっていた場合、Eを処分して在庫としてカウントしないようにしたいとなったら、

単純にA、B、C、Dだけ棚卸しにカウントしてEはカウントしなければいいだけです。

実際に棚卸しをすれば、不良品かどうかは一個一個在庫を見るのですぐわかりますね。

 

しかし帳簿棚卸しだと、売上伝票や仕入伝票の差し引きなので、

伝票をいくらチェックしても、Eが不良品だということはわかりません。Eもちゃんと在庫としてカウントされてしまいます。

 

ここで、「帳簿棚卸し」と「実地棚卸し」にズレが生じてくるのです。

現状を正確に把握できる棚卸しはどとらでしょうか?

もちろん「実地棚卸し」ですね。

不良品の発見以外にも在庫としてカウントすることができない場合として、盗難や紛失などが考えられます。

 

棚卸しが2種類ある理由は、それぞれの棚卸しの結果を「答え合わせ」するためです。

先ほど実地棚卸しの方が正確だと書きましたが、これは方法としては正確というもので、棚卸し作業のミスがない前提です。しかし、人が行う作業なので毎回毎回ミス0というはやはり難しいのです。

反対に帳簿棚卸しは、伝票の入力ミスなどでズレの原因を作ってしまう可能性があります。

実地棚卸しをしてカウントしない在庫を帳簿棚卸しに反映させた上で、この2つの間にズレがなければ、その棚卸しの結果は、限りなく正確ということになるのです。

ズレが大きかったり毎回ズレが生じるのであれば、作業の手順だったり伝票管理のしくみだったりと、棚卸しのやり方を見直す必要があります。

 

仕掛品?製品?

棚卸しとは在庫金額を出すことなんですが、ここまでの説明では、

「在庫それぞれに原価をかけて」とだけ書きました。

1,000円で仕入れて、1500円で販売するとき、その商品の原価は1,000円です。

これが、一番簡単な原価の考え方です。

 

では、仕掛品や製品だとどうでしょうか?

製品とは、仕入れた材料を組み合わせたり、材料を加工して出来上がったもので、

仕掛品とは、製品になる途中のものです。

これらは、単純に仕入価格を原価にすることが出来ないので、原価を設定しないといけません。

歩留りや資材費、労務費などを組み込んで原価を出します。

(原価については別に記事で詳しく書こうと思っております)

その原価によって在庫金額を計算するのです。

なので、この仕入れた材料が製品に変わっていく過程も、随時帳簿に反映させていかないとズレの原因になります。

棚卸しの際、仕入れた材料が販売していないのになくなって、仕入れてもいない製品が存在することになりますからね。

 

まとめ

では、おさらいです。

棚卸しとは、会計期間の末日に、原料、仕掛品、製品などの在庫の数量を数え、それぞれの数量にそれぞれの原価をかけて、在庫全ての金額を出すこと。

目的は、粗利益を正確に確定するため。

帳簿棚卸しと実地棚卸しの2つの方法で、より正確な在庫金額がわかるようになる。

仕掛品や製品の場合、仕入価格=原価ではないので、その課程を随時帳簿に反映させる必要がある。

よって、「売上」「仕入」以外に帳簿に反映させるものは、

「仕掛品、製品まで課程」「不良品、盗難、紛失などによる処理」

 

ということでした。

しんどい棚卸し作業でも、意味を理解して作業するとやりがいがあるかもしれませんね。

最後までありがとうございました!

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