牛の個体識別番号とは?

個体識別番号は牛のマイナンバー

牛の個体識別番号をご存知ですか?

少し意識すると、いろんなところで見かけることができます。

精肉店はもちろん、スーパーの精肉売場、焼肉屋のエントランスやメニュー表・・・

これ一体なんなのでしょうか?

すごく簡潔にお答えしますと、

人間でいうところの「マイナンバー」みないなものと言えば、イメージがつきやすいかと思います。

一人一人に番号が割り振られているように、一頭一頭に10桁の番号が割り振られています。

人間は、その番号によって名前や住所、性別、生年月日、所得、保険加入状況などの情報がわかるように、

牛は、品種や性別、産地、生産者などの情報がわかるようになっているのです。

具体的に、個体識別番号には以下の情報が入っています。

 

①性別

②産地

③生産者

④肥育期間

⑤品種

⑥等級

⑦血統

 

どちらかと言えば、戸籍に近いイメージですね。

これらの情報がちゃんとわかるように、牛肉の流通や販売の際は、個体識別番号には表示義務があるのです。

これは、平成15年に制定された

「牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法」(牛トレーサビリティ法)

という法律で決められています。

 

義務化の背景と目的

では、どういう時に個体識別番号は必要なんでしょうか?

それは、牛肉を食べることに対して、

「安心、安全」

を求めたときです。

食に対して「安心、安全」を求めるのは当たり前のことですが、法律によって義務化までされているのには、ある背景があります。

 


平成13年9月、日本で「BSE」に感染した牛が発見されました。国内初のことでした。「BSE」とは、いわゆる「狂牛病」と呼ばれる牛の病気のこと。

これは脳の病気であり、その肉を食べると人間にも感染するとか、食べるぶんには安全だとか、様々な報道がありました。

こうなると、真実がはっきりするしないに関わらず、人々の牛肉に対する不安はどんどん大きくなり、風評被害を起しました。

(当初の調査結果では人体への影響はないとされていましたが、最近では、人体への影響があるとの調査結果が出ています。)

「感染した牛と同じ農家で育った牛も感染してたんじゃないか?」

「その可能性がある牛肉は回収してほしいけど、出荷してしまってたら分からないんじゃないか?」

「そんな牛肉食べたくないけど、どれがその可能性のある牛肉がわからない」

と、こういった人々の不安への対応として、

「牛に万が一のことがあった場合、回収できるようにしておこう!」

「万が一のことがなくても、それが証明できるしくみを作って、安心して牛肉を食べてもらおう!」

という考え方が出てきました。

こういう背景により、個体識別番号は生まれたのです。

 

牛が生まれたら「耳標」という札を耳につけられ、国に申請することで個体識別番号での管理が始まります。

生まれたときから牛肉としてお店に並ぶまで、ずっと個体識別番号を引き継いでいくことで、

いざ回収となれば、その番号をひたすら辿ることで回収が可能になり、

また、いつでも安全、安心を確認できる前提で、牛肉を買うこと、食べることができるわけです。

 

どうやって使う?

国産牛肉に個体識別番号が表示されているのはわかりましたが、一体どうやって使うのでしょうか?

実は、スマホで簡単に検索することができ、その場で、その牛の履歴のページを見ることができるのです。

個体識別番号検索サービス」と検索すると、すぐに見られます。ぜひ、試してみてください。

自分の地元が産地だったりすると、味わいも違ってくるかもしれませんね。

 

経営的な使い方

ここからは、個体識別番号の経営的な使い方にも触れてみましょう。

具体的には、「一頭分ごとに利益を見る」ことができます。

例えば、3頭分のロースを仕入れて、商品A、商品B、商品Cが製造される場合、

 

1頭目⇒ 商品Aー1 商品Bー1 商品Cー1

2頭目⇒ 商品Aー2 商品Bー2 商品Cー2

3頭目⇒ 商品Aー3 商品Bー3 商品Cー3

 

としたときに、

同じ商品Aでも、Aー1は5kg製造され、Aー2は7kg製造されるということが起こります。

牛の部位や脂の付き方には個体差があるので当然ですね。

つまり、商品Aの原価が変動してしまうのです。

こういった場合、3頭分のロースの仕入値と商品A、B、Cの出来高から算出した平均値「移動平均」を使った原価を採用したりするのですが、そうすると、「商品Aはいくら」「商品Bはいくら」と、商品別でしか利益を見ることができません。

そこで個体識別番号を使うと、入荷から販売まで紐付けられるので、

 

1頭目のロース⇒ 商品Aー1 商品Bー1 商品Cー1を製造⇒ すべて販売⇒ 1頭目のロースの利益確定

2頭目のロース⇒ 商品Aー2 商品Bー2 商品Cー2を製造⇒ すべて販売⇒ 2頭目のロースの利益確定

 

と、一頭分ごとの利益を見ることができるのです。

高く仕入れたものは高く売るや、出来高によって値段を変えるといった経営戦略を望むなら、もってこいの方法です。(もっとも、ある程度のシステムが構築されていないと、仕入量や商品数が増えるぶんだけ在庫管理が難しくなりますが)

さらに、

「あのとき仕入れたロースは脂が多かった」とか

「ある製造スタッフの技術不足で、このヒレの商品Dは少量しか出来なかった」など、

ピンポイントで見ることができるようになるので、仕入先の選定や製造現場のレベルアップなどに繋げることができるようにもなります。

と言っても、これらは個体識別番号を利用しなかったら見れないものではないので、あくまで、

「個体識別番号を利用することもできますよ」というだけのことです。

 

まとめ

では、おさらいです。

 

個体識別番号は、牛肉の「安心、安全」も目的としてつくられた牛一頭一頭に割り振られた10桁の番号。

牛トレーサビリティ法によって個体識別番号には表示義務があり、牛が生まれてから、肥育、と畜、出荷、販売とすべての流通において必要。

牛が生まれたときから食卓に届くまでの履歴がわかるようになっており、万が一、病気などが発覚したときは、個体識別番号を辿って対処することができる。

履歴を追うということを経営的に活用することもでき、牛一頭分ごとの利益を見たり、仕入や製造の履歴も一頭分ごとに見ることができる。(これには、ある程度のシステム構築が必要)

 

ということでした。

最後までありがとうごさいました!

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